4月に入り高校野球の球数制限に関する議論が日本高野連の諮問委員会で始まりました。元メジャーリーガーで早稲田大学の小宮山悟監督やソフトボール女子日本代表元監督の宇津木妙子さん、甲子園優勝経験がある学校の監督や球数制限をローカルルールで導入しようとした新潟県高野連の代表などいろいろな立場の人たちが参加したそうです。ただ、簡単に結論を導けることではないようです。

年内をめどに意見を取りまとめることになっているそうですが、初めての会議では現状把握を行ったそうです。その中でまず意見が一致したのは見切り発車では実行するわけにはいかないということ。けがを抱えている人なら歓迎するかもしれないが、導入がエラい迷惑に感じる人もいる。いろいろと考えのあるところで着地点を見出さないといけませんが、簡単なことではありません。

選手の負担についてテコ入れが行われた例として思い出すのは高校サッカーです。関東圏での開催が定着し出場校が48校にまで増えた年末年始の全国高校サッカー選手権。1993年度までは元日の天皇杯決勝の前座イベントとして開会式をやったあと1月2日に1回戦、3日に2回戦、4日にベスト16と3連戦したあと1日休み、6日のベスト8から決勝まで3連戦という日程でした。Jリーグなどのトップリーグはもちろん、ユース世代の試合でも連戦はありえないとされるサッカー界。FIFAが主催する世界大会では試合と試合のインターバルをかならず48時間はおくようにと明文化された規定もあります。こういう規定があるくらいだから3連戦を2つもやるような大会形式はFIFAから何かしらの警告かペナルティが課せられてもおかしくないと判断したようで、12月30日開会式・31日1回戦と前倒しし、更に2002年度からは成人の日決勝が定着するに至りました。サッカーの場合は世界基準があったから制度改革がスムースにいけたのかもしれません。しかし、夏のインターハイについては手が及ばず、あるサッカーライターは「世界一過酷なユース年代のトーナメント」と呼ぶようになったとか。

さて、野球の場合は世界野球・ソフトボール連盟という統括団体がありますが、そこが主催するワールドカップではU-18年代でも球数制限という話を聞いたことありません。ワールドベースボールクラシックのようにマイナーリーグのオープン戦を下敷きにした球数制限がはっきり明文化されているようなら、世界基準に追いつくためという理由で導入ができたかもしれません。ただFIFAのような強制力が世界連盟にないようだと混乱するような気もします。世界基準においつくためには選手の健康状態、戦力均衡など超えるべきハードルはたくさんあることを忘れてはいけません。

では、また次回です。
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