将棋の女流名人戦で里見香奈名人が2月18日までに挑戦者伊藤沙恵女流2段を3勝1敗で破り、「V10」を達成したことが将棋界で大きな話題になっているとか。しかし、記事にあった表を見てみるとタイトル奪取したあと9連続防衛に成功したということ。つまりこれ、ボクシング的に言えば「V9」となるわけです。

将棋の「V」の回数の数え方ってボクシングやプロレスと違うところがいろいろあって興味深いです。ボクシングでもプロレスでもチャンピオンにタイトルマッチで勝つか該当者なしの状態を脱するための王座決定戦に勝つかすれば新チャンピオンになりますが、この時はまだ「V1」ではありません。その後の最初の防衛戦に勝って初めて「V1」となります。その後防衛を連続で重ねていけば「V」の回数は増えていき、敗れてベルトを失えばその数は止まります。その後ベルトを奪還できてもまた「V」の回数は振り出しに戻ります。プロレスだと通算成績を集計するためにベルト獲得回数を数えることがありますが、それはあくまでも奪取した回数のみ数えるのであって防衛回数を足すことはありません。ただ、将棋だとタイトル奪取回数も防衛回数も一緒にカウントして「タイトル獲得○期」と表現しています。

藤井聡太7段が8段になるための条件として「7段で通算190勝」「竜王位奪取(防衛できなくても可)」とともに「タイトル獲得2期」というものがあります。これ、ボクシングやプロレスなら「ベルトを奪取してその後2度防衛」と受け取られるでしょうが、将棋の場合は「タイトル奪取後防衛1回」でも「2つのタイトルを奪取」でも「1度タイトルを失った後に奪回」でもありなんです。ボクシングやプロレスは現状の強さを求めるのに対して将棋は実績の積み重ねが求められるのではと考えています。リストラ規定に引っ掛からなければ加藤一二三さんみたいに76歳まで現役でいられるというシステムもあるわけだし。

では、また次回です。
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