東京スポーツと言えばプロレスなどの格闘技に強い新聞というイメージを持つ方もいるでしょうし、にわかに信じられないニュースを大々的に伝える新聞というイメージを持つ方もいるでしょう。スポーツの分野では「高校野球の監督をNPB某球団が監督に招聘か」とか「JリーグOBを集めてサッカー版マスターズリーグ結成か」といった感じ。強いと思える格闘技の分野でも、柔道の井上康生選手(現在は男子全日本監督)がシドニー五輪で金メダルを獲得して間もない頃に「総合格闘技に転向か」という記事がありました。といっても、井上選手は同じ記事ではっきりと否定していましたが。

そんな中、15日付(14日発売)の1面で競馬にまつわるこんな記事が。初めに挙げたような噂のような内容ではなく、毎年8月半ばに札幌競馬場で行われるGⅡ「札幌記念」をGⅠに昇格させるべきと言う待望論です。ファンからの要望というよりも評論家や現場の人達から多く提言されていているんです。例えば、武豊騎手は「昔からずっと思っていた。ヨーロッパでは夏に多くGⅠが行われているし、避暑地には競馬の大きなイベントが控えている」と言い、池江泰寿(やすとし)調教師は「とにかくGⅠが増えるのは大歓迎。札幌記念がGⅠになり、他の競馬場にも流れが来て更に夏場のGⅠが増えれば、もっと夏競馬は盛り上がると思う」と更なる波及効果にも期待しているようです。

しかし、JRAは東京スポーツの取材に対してやや後ろ向きのリアクションを示しているようです。「秋のGⅠや海外遠征につなげる一戦として位置づけられている印象もあるし、ここに力を入れすぎて、春や秋の層が薄くなってしまっては…」という不安があるようです。北海道での競馬を盛り上げるためにと、12月初めに行われていた「ワールドスーパージョッキーズ」(指定のレースに騎乗した馬の着順で得るポイントの合計を争う大会)を8月に前倒ししたりいろいろなイベントをやったりしているそうですがGⅠには及び腰になっているように見えます。

私は両方の意見とも理解できます。ヨーロッパでも確かに多くGⅠが行われています。世界標準に近づくためには夏場のGⅠは必要かもしれないですし、「夏場は馬券を買わない」という人に夏競馬への興味を持たせるきっかけになるかもしれません。ただ、馬が1年間緊張した環境で力を出し続ける体力や精神力を維持できるようにするための手段が確立できないとJRAが不安に思っていることが現実のものになってしまうのではないかとも思います。また、札幌記念を足がかりに夏競馬にもGⅠが多く乱立するようだとGⅠの権威を疑う人が出てくるかもしれません。「Yahoo!掲示板」の競馬トピックで「ボートレース(競艇)のように、日本ダービーや有馬記念などGⅠの中で特に権威のあるものをSG(スペシャルグレード)と区別すべし」という意見がありましたが、その意見が再燃するような気もします。

でも、私は全くの反対派ではありません。不安に対する対処がどうできるかわかりさえすれば来年以降いつやってもいいと思いっていますから。実現したら間違いなく盛り上がるでしょう。推移を見守りたいと思います。

では、また次回です。
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