異例ずくめの中で19日から始まった大相撲7月場所。新大関朝乃山が奮闘しています。朝乃山は本来5月の夏場所で大関デビューを果たすはずだったのが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止になったため2か月遅れのデビューになりました。横綱はもちろん大関昇進者がいる場所が中止になるケースはないからこそ朝乃山の注目度は輪をかけて大きくなるのかもしれません。そんな場所の中で面白いテレビを見たんです。

22日に日本テレビ系で放送された「笑ってコラえて!」。チャンピオンの身内なり知り合いを紹介する「日本列島チャンピオンの旅」が放送されましたが、この中で義理のおじ(兄嫁の父)が27代横綱・栃木山というお爺さんが登場。このお爺さんは栃木山が小結だった1916年5月場所で56連勝中の22代横綱・太刀山を倒した時のフィーバーぶりを熱く語っていました。得意のもろハズで絶対王者だった横綱を倒すと勝ち名乗りしている時に観客が土俵に乱入するは、花道を引き揚げようとすると背中に100円札を張り付ける観客が現れるは、挙句の果てには退場口近くでたくさんのファンに胴上げされてしまったというんです。今の両国国技館だったらこんなことはありえません。土俵に乱入しようと思えば周りの力士か勝負審判の親方に止められるだろうし、力士と観客の導線が完全に分離されているため観客が寄ってたかって胴上げなんてことはできないはずです。

そういえば、3月の大阪場所終了後に朝乃山の大関昇進が決まった時、富山県出身者の大関昇進は太刀山以来という話をしましたがその時に太刀山を「大正時代最高のスターアスリート」と称しました。43で連勝が止まった次の日から56連勝を記録するというのはものすごいこと。しかも連勝と連勝の間の黒星は人情相撲によるものと言われているので、本気出していれば双葉山の69連勝をはるかに上回る100連勝を達成していたかもしれないというのも大変なものです。そして、その太刀山を倒して横綱になり、1909年以降の近代相撲で唯一の横綱通算勝率9割を記録するまでに至った栃木山も「大正時代最高のスターアスリート」と称してもいいかもしれません。引退直後に参加したトーナメント大会で現役力士を倒して優勝してしまったというエピソードもスターたらしめる一面かもしれません。

では、また次回です。
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