NPBでは今シーズン、新型コロナ対策として延長戦を1年限定ではありますが廃止しました。9回で決着できなければ引き分けというわけです。9回表で同点でもサヨナラ負けを阻止するためにストッパーを投入するなど、点差が明らかに開いている場合でなければ勝ちパターンの継投をするように、戦術が少しずつ変化してきました。

野球の場合、引き分けでは勝率は上がりも下がりもしません。なので勝ち星が順調に重ねて黒星を極力つけないチームが優位に立てます。勝ち数が多くても引き分けの数が少なかったために優勝できなかったというケースも過去にはありました。一方、サッカーといえば勝てば勝ち点3、引き分けなら1というのが当たり前。だから順位が下のチームが巻き返すチャンスがあるとも言えそうです。追いつかれた方からすれば勝ち点2を失い追いついた方からすれば勝ち点1を拾ったという印象がもたれるでしょう。でも、野球では勝率は動かないにしても追いつかれたチームの監督が「勝ちきれなかった」とこぼすことが多くなっているのは、心理的なダメージでサッカーでいう「勝ち点2を失った」ような感覚が特にあるでしょう。

ところで、サッカーの順位を勝率で並べると面白いことが起こります。サッカーでは勝率は単純に勝ち数を試合数で割ることになっていますが、引き分けでは勝率が動かない「勝率=勝ち数÷(試合数-引き分け数)」という野球式の計算をします。そうすると勝率が上なのに引き分けで勝ち点が伸びなければ順位が悪くなる傾向が出ます。だからなのか「勝ち点3にこだわりたい」とJリーグはじめプロサッカーの選手たちは異口同音に口にするのかもしれません。

元阪神監督の岡田彰布さんは「今年は多いところで20以上引き分けるチームが出るだろう」と予測しています。サッカーで言えば勝ち点を40以上、勝ち星を13個以上損することになります。勝ち点本位のプロ野球でないにしても、勝てるはずの試合を落としてしまうのはいろいろな影響が出てくるかもしれません。今年の順位がどうなるのか、引き分けの数ともども気にしたいと思います。

では、また次回です。
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