11月に始まったNHKの朝ドラ「カムカムエブリバディ」。およそ100年にわたる家族の歴史を描く物語ということで、朝ドラでは珍しく主人公が3人入れ替わりで登場することで話題を集めています。

現在は上白石萌音さん演じる最初の主人公・雉間安子(きじま・やすこ)が物語の中心になっていて2人目の主人公・るいの幼少期も描かれています。その安子の嫁ぎ先は戦前から戦時中にかけて大儲けした衣料品メーカー。ストーンズの松村北斗さん演じるその家の長男・稔と英語とルイアームストロングの唄が縁になって結ばれました。雉間家には野球に打ち込んでいた次男・勇もいます。村上虹郎さん演じる勇も安子に恋心を抱いていて、一時はアニメ「タッチ」のような三角関係になっていました。

勇の進路について思うことがありました。現在の制度に当てはめれば高校の最終学年になる中学5年の時、夏の甲子園大会が中止になり勇は目標を見失ってしまいます。ただ、野球への情熱は冷めることなく大学に進学して野球を続けることになったのです。その後、戦争が激化して学徒動員などの影響で大学野球も途絶えてしまい勇は野球を辞めることになりましたが、もしも大学進学ではなく職業野球、すなわちプロ野球を選んでいたら…。

NHKで2017年夏に放送されたドラマ特番「1942年のプレイボール」で描かれた1リーグ時代の名選手で、仲野太賀さん演じる野口二郎は大学ではなくプロ野球を選びました
(史実では現在の中京大中京高校を卒業して法政大学に進んだもののほどなく中退している)。二郎が中学を卒業するころに野口家の商売が右肩下がりになったため、家族を助けたいという思いでプロの世界に飛び込んだと描かれています。雉間家が裕福だったから二郎のような選択をする必要がなかったかもしれないし、プロ野球が黎明期で大学野球より格下に見られていた、もっといえば「野球で飯を食おうなんてけしからん」という風潮があったかもしれません。

「カムカムエブリバディ」のエピソードとしては本流のものではないでしょうが、プロ野球がこどもたちの夢にも野球をする学生たちの大きな目標にもならなかった時代があることを痛感した次第です。では、また次回です。
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