中央競馬は春のGⅠシーズン真っただ中。そんな中、週刊誌やスポーツ紙ではGⅠレースの在り方を問う記事が多く出ています。大筋を言えば2つ。一つは現在GⅡとして行われている産経大阪杯を来年以降にGⅠに昇格させる動きがあること、もう一つは3200mの長距離で争われている春の天皇賞を廃止させる動きがあるということです。

まずは、産経大阪杯のGⅠ昇格について。2000mという距離に魅力を感じて一線級の馬たちが集まることから、毎年GⅠ以上の価値があるといわれるメンバー構成になっています。出走した馬たちのクラシフィケーションと呼ばれる国際的な競走馬の実力を示す数値をみても、GⅠに相応しい数値だったとか。それに、ドバイや香港で行われるGⅠと連動性が取れるようになることも期待されているとか。それで、来年以降にGⅠ昇格の見込みがあるという報道が今月になっていくつかのスポーツ紙に出たんです。6月の宝塚記念を上半期の目標にする馬でも、3200mもの長い距離を走る天皇賞でも1600mの安田記念でも力を発揮できないという馬にはモチベーションを保つのが少々難しい。とすれば、産経大阪杯がGⅠになれば目標設定がしやすくなるし、天皇賞・春になかなか出てこない雌馬にとってもビクトリアマイル以外の目標ができれば張り合いがあるということで、待望論が出ても不思議ではないでしょうね。

もう一つは天皇賞・春不要論。世界基準はもはや2400m以下のレースで力を発揮できるかどうかであって、3000mを超えるレースなんて時代遅れという根拠で不要論が浮上したようです。それと呼応するように産経大阪杯のGⅠ昇格の声が上がるようになってきたともいえるようです。でも、天皇賞は80年代に秋の天皇賞を3200mから2000mに短縮させた動きがあります。これはジャパンカップが行われたのがきっかけで、3200mの天皇賞から1か月弱で2400m走らせるのは日本馬の足を遠のかせるのではないかという不安があったのかもしれません。ただ、今回の場合は世界標準に日本の伝統が合わなくなったという明確とは言い切れない根拠なんですよね。オーストラリアで行われているメルボルンカップのようにハンデ戦にしてみたり、距離を2400mに短縮してみたりする改革論もあることはあるようです。

時代が変わればGⅠのあり方が変わるのは理解できます。ただ、明確な理由をもって動き出してほしい気持ちはあります。そして、この動きが実りあるものになってほしいと思います。

では、また次回です。
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