大相撲春場所中日の18日、新十両・貴公俊が付き人に取組直後に暴行をはたらいたり別の部屋の力士が後輩に数回にわたって暴行をはたらいたことが発覚したりして大騒ぎになりました。貴公俊は去年秋にあった元横綱日馬富士さんの暴行事件の被害者である貴ノ岩と同じ貴乃花部屋の力士と言うことで、親方の対応にも注目が集まりました。

去年から今年にかけてアスリートの暴力に関するニュースがいくつも報じられましたが、こういったニュースが伝わるたびに私の身近にいる人間から「シバきたくても簡単にはできなくなったね」との声が。確かに「言葉でわからない奴には手を出してわからせないといけない」という理屈はどこかしらに存在しているかもしれない。ただ、その理屈が教育のすべてというわけではない。そんな中で暴力の社会的な立ち位置が変わってくるのかもしれません。
こういう言い方が的確かどうかわかりませんが、今年の1月になくなった星野仙一さんは少なくとも50代の頃まで暴力を上手に使ってチームをうまくまとめていたように見えます。星野さんはチーム全体で問題意識をもたせるため、叱るときには誰の目にも触れないところではなく全員がいる目の前で叱っていたそうです。そして、言葉でわからなければみんながいる目の前で手を出したといいます。しかし、別の身近な人間にその話をしたら、「普通の大人の社会ではこの理屈は通じない。単なるいじめ」なんて言われてしまいました。星野さんだからできた芸当と言われればそれまでかもしれないし、20年近く経ったら社会に通じなくなっているのかもしれません。

他の競技の指導者でも星野さんほどでないにしても暴力をうまく利用してチームをまとめた人は何人かいます。ただ、その一方で暴力に頼ることなく褒めて励まして伸ばす指導者も多くいます。「君のやりたい通りやればいい。君なら出来る」と選手と指導者が最大限信頼していくことを理想としているように思います。ただ、怠け癖があるような人だと「やりたい通りやればいい」という言葉に甘えて向上心を忘れてしまうようなこともあるかもしれません。間違った方向に考えが傾かないようにするためには選手の心に響くような理論が必要になってきます。これからは、上に立つ人には伝える力を持たないといけなくなりそうです。

では、また次回です。
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