今年も3万5500人が参加した東京マラソン。市民ランナーに混じって多くの著名人も挑戦したようですが、悲喜こもごもの結果だったようで…。そんな中で注目を集めたのがロンドン五輪男子マラソンの代表争い。これまで以上の盛り上がりを見せていました。

この争いの中で私の中で浮かんだイメージと言うのが今回のタイトル。レース2日前に話が始まります。主要なエリートランナーが出席した公式会見でのこと、五輪有力候補と目される「公務員ランナー」川内雄輝選手とこの東京に勝負をかける「プロランナー(無職ランナーとも言われる)」藤原新選手が舌戦を演じました。

(25日付デイリースポーツから一部抜粋)
川内「確か去年は藤原新さんが(2時間)7分台と言っていたと思うけど、今年は言わなかった。なので7分台を明言しておきます」
藤原(笑みを浮かべながら)「言わなかったのは、その方が(川内の言う)7分台が(話題に)持ち上がると思ったから。そういう意味だよ、川内くん」。
川内「新さんが日本記録狙いなのが分かった。ますますモチベーションが上がります」
藤原「(ペースメーカーの外れる)25キロ以降は一緒に引っ張りあっていこうね」
川内「分かりました」
藤原「後ろにピッタリ付くのは駄目だからね。交代だからね」

まるでプロレスのタイトルマッチ前みたいな挑発合戦。真意のほどはわかりませんが、言葉尻だけをつかめば、藤原選手が川内選手をまるで見下すような物言いをしていたような印象があります。
そしてレースは藤原選手の「完勝」。最後の最後に「皇帝」ゲブレセラシエを追い抜き2位でフィニッシュし、五輪代表の切符を引き寄せることになりました。一方、川内選手は給水のミスなどがありましたが14位とまさかの大敗を喫してしまいました。積極的にレースを組み立てていった藤原選手が常に優位に立ってこういう展開に出来たのかと思います。もしかしたら、あの舌戦で精神的にも優位に立てたからこその結果かなとも思います。

川内選手と藤原選手、他の実業団選手を比べるとき、調整の仕方を主にイメージして「川内選手はプロレスラーで藤原選手と他の選手は総合格闘技の選手みたいなもの」と思っていました。川内選手の場合はレースに数多く出て本命のレースに備えるという調整方法をしていますが、それは週に数回全国各地を回りながら試合を重ねて本命のタイトルマッチや大型トーナメント(新日本の「G1クライマックス」や全日本の「チャンピオンカーニバル」)に備えるというプロレスラーのように見えます。もう一方の選手たちは本命のレースに向けてピッチリとメニューを組んで練習やレースを重ねて本命のレースに向かう傾向があるように見えます。藤原選手も独自のメニューを入れた練習をしてはいますが、べらぼうにレースに出るわけではないので、後者に当てはまるのではないでしょうか。こういった人たちは大きな試合を目指してあらゆるメニューで力を蓄える総合格闘技型といっていいと思います。プロレス型の川内選手は練習の仕方ばかりでなく、けじめのつけ方もプロレス型なのかもしれません。

東京マラソン翌日、もはやお約束となった勤務先の学校での記者会見。川内選手は「期待にこたえられず申し訳ないと思って…」と、頭を丸めて来たとか。さぁ、五輪本番なのか、それとも秋以降のマラソンなのか、そのあたりはわかりませんが、叩きのめされた藤原選手にリベンジするチャンスはきっと来るはず。這い上がってリベンジなんてストーリーもプロレス的ですね。

それでは、また次回です。
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