第96回全国高校野球選手権は25日に決勝が行われ、大阪桐蔭が平成最多を更新する2年ぶり4度目の優勝を果たしました。振り返れば、大阪桐蔭は正攻法の典型と言ってもいいような戦いぶりで優勝までたどり着いたような気がします。そんな中でも高校野球の常識を挑戦する個性派が今年もたくさん現れました。

特に注目を集めたのは東海大四高(南北海道)の西嶋投手。60kmを切るといわれる超スローカーブを武器にして1勝しました。4m以上浮き上がりちゃんとミットに収まるわけですから、スタンドは拍手喝采となります。そのあとに普通にストレート(130km台後半)を投げれば落差は70km以上になるわけですから、変化球を覚えなくてもチェンジアップの代用品を得られるというわけです。コントロールの良さも加われば鬼に金棒。味方からも「投げ過ぎないほうがいい」と注意されたことがあるらしいですが、本人はそれでも投げ続けると言い切っているとか。ツイッターでは、最近はWOWOWのスポーツ実況を多く担当する岩佐徹さんが「誰が何と言おうとあれは投球術じゃないといい続けてやる」というようなことをつぶやくと、なんとレンジャースのダルビッシュ投手が「スローカーブは難しいもので、自分のものにしているのは素晴らしい。(批判される筋合いはない、ということ?)」という具合に応酬という「場外乱闘」もありましたね。

攻撃面で注目を集めたのは高崎健康福祉大高崎(群馬)の機動力。「機動破壊」というキャッチフレーズを掲げて1日に2時間以上走塁練習をしてきたということもあってか、盗塁の戦後最多記録、戦後タイ記録を立て続けに打ち立てました。走塁にはスランプはないといわれていますが、バント以上に盗塁で相手の守りを崩しにかかるような発想は今までなかったような気がします。
しかし、大量リードをとっているところでの盗塁はメジャーリーグでは伝統的な不文律に背くことになってしまうので、メジャー以外でも「花相撲」でなければ遠慮すべきという考え方も浸透しています。そのためか、この「機動破壊」の考え方がネット上で批判されたとの記事がYahoo!スポーツに掲載されたこともあります。その批判に乗ったわけではないでしょうが、大阪桐蔭の西谷監督は準々決勝で対戦する前に「盗塁だけじゃ3塁までしか行けないから」と見方次第では挑発と取れるような発言をしていました。結局は強打で見事「機動破壊」の高崎を打ち破る結果となりましたが。でも、新たな発想の戦術としてこれからの高校野球に何かしらの影響をもたらしてくれるはずです。

大阪桐蔭のようにしっかり守ってしっかり打つという常識通り、セオリー通りのやり方を貫いて優勝できたことは確かに素晴らしいことです。しかし、何かしらの新しい発想のきっかけをもたらしてくれるようなプレーがいつでも生まれてくるのが高校野球の魅力だと思うんです。これからもまた楽しみます。

それでは、また次回です。
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