新型コロナウイルスの感染拡大がまだおさまらずスポーツ界は開店休業状態。競馬やボートレース(競艇)などの公営競技が、ネット投票の普及に拍車がかかかって売り上げを極端に減らさずに気を吐いているくらいです。

プロ野球もJリーグも開催のめどが立たない状況が続いています。プロ野球では交流戦を取りやめにして公式戦の試合数を143試合から125試合に減らすことが検討されています。そんな中、メジャーリーガーの代理人を務める団野村さんが、NPBが検討している125試合よりもさらに少ない80試合での公式戦を8日付の夕刊フジで提案しているんです。

団さんの考えの中心にあるのは前後期制(2ステージ制)の一時的な復活にあるようです。パリーグが72年から83年にかけて採用していたもので、勝率上位のチームが必ずしも優勝できないという番狂わせがウケました。30代以下の方にとっては前後期制といえばJリーグの2ステージ制の方が通りがいいかもしれません。こちらでも年間勝ち点上位のチームが優勝できなかったケースがありましたし。団さんの提案によれば、前期・後期(ファーストステージ・セカンドステージ)それぞれ40試合ずつ公式戦を行い、更に20試合のトーナメントをやるというもの。トーナメントと公式戦の相関性がどういう形になるのかまでは記事に明記されていませんが、各チームにはその時々の勢いもコンスタントに勝ち続ける安定感も求められるシーズンになるのではないでしょうか。

「無観客試合で公式戦をやるなら」という条件付きではありますが、試合開始時間を朝・昼・夜に振り分けることも提案しています。プロ野球がいつでも見られるというのは、自宅待機をし続けている人たちにせめてもの楽しみができて、励みというか心の支えになるかもしれません。先月の大相撲春場所の無観客開催も多くの人の楽しみや励みになったといいます。野球にもそういう存在になれるチャンスがあると考えた方がいいかもしれません。東日本大震災によるプロ野球開幕延期は2週間程度で済みましたが今回はそれ以上の長さに及びます。選手の皆さんのモチベーション維持は練習だけではむずかしいかもしれません。いつもと違うレギュレーションも役にたつでしょうか? 

では、また次回です。
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第92回センバツ高校野球の開催中止が11日に発表されました。1週間前には無観客開催を前提に準備するとしていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大の問題が改善されず中止の決断に至りました。太平洋戦争による「中断」はあったものの単発の「中止」はセンバツで初、夏を含めても米騒動で全国的な動乱が起きた1918年の第4回大会以来ということで102年ぶりになるとか。

新聞各社の読者アンケートを見るとどれも賛否が拮抗しています。簡単に答えが出せるものではないことがうかがえます。テレビや新聞で見た限りの上っ面な情報の流れを見ると中止を後押ししたのは2つの事実だったかと思います。
1つは高体連加盟種目の春季選抜大会が軒並み中止になったこと。中止を免れたのは正月に開催されたサッカー(全国高校サッカー選手権と全日本高校女子サッカー)とバレーボール(春高バレー)だけ。高校野球は高体連に加盟している競技ではありませんが「野球だけ特別なの?」という批判的な声が各方面からあったとそうです。
もう1つは、センバツ中止発表の前日にNPBが公式戦開幕を遅らせることを決めたことです。先週紹介したJリーグとの合同連絡会議で専門家から「予定通りの開幕は勧められない」という答申があってNPBは3月20日の開幕、Jリーグは3月後半からの公式戦再開を断念する決断をしました。高野連は「高校野球は独自の考えで決断を下す」と強気の態度を見せていましたが、特にNPBの決断を高野連は重く受け止めたかもしれません。

決断の後には救済策の検討が待っています。球界関係者の間では「初出場校と21世紀枠の学校だけ集めた特別大会を開く」「甲子園での特別練習を行う」「夏の甲子園につながる地方大会で特別シードを与える」「『中止』は暫定的なものとしておいて秋に延期する」などといった案があります。私は、何がいいか正直思いつきません。やる人たちのダメージができるだけ小さなものにすることが大事だろうとは思いますが、ここは高野連サイドがどんな答えを出すか見守るしかありません。

では、また次回です。
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選手時代には達成当時史上最多、史上初だった記録をいくつも打ち立て、監督としては史上5人しかいない通算1500勝を達成して3度の日本一を経験した野村克也さんが11日に84歳で亡くなりました。野村さんが風呂場で倒れているのを家政婦の方が見つけ警察に通報、病院に運ばれた後に野村さんの死亡が確認されたそうです。死因は虚血性心不全。2017年12月に亡くなった妻の沙千代さん同じでいわゆる「突然死」だったそうです。野村さんは沙千代さんが亡くなって以降かなりの喪失感があってプライベートではあまり元気がなかったと報じられていましたが、テレビ番組での饒舌ぶりを見ていたので「突然死」にはただただ驚くばかりです。

現役時代の通算ヒット数、通算ホームラン数、通算打点は全て歴代2位ですが、これらはすべて巨人の選手に抜かれるまで歴代最多でした。特にホームランは通算300号、400号、500号は野村さんが史上初で、600号は王貞治さんが史上初、年間最多ホームラン記録も野村さんが打ち立てた52本を1年後に王さんが55本にまで伸ばしたという具合で、巨人との因縁が何かとあるようです。選手の時にも、監督になってからも、今では当たり前になった戦術をたくさん導入してチームを強くしました。クイックモーションやギャンブルスタートなど、メジャーリーグのチームも導入するものもあったとか。具体的な戦術だけでなく、考えて野球をするという思想を日本の野球に浸透させたことも野村さんの功績だと言われていますよね。直感的な采配の長嶋巨人とID野球の野村ヤクルトが90年代に交互にリーグ優勝をしていたのも懐かしいです。「長嶋が向日葵なら俺は月見草」、現役の頃に語った言葉といわれていますが、もはや代名詞という感じです。

そういえば、巨人V9時代にあったある交流がID野球の礎になっているのかなと思うんです。リーグ優勝が決まると当時も祝勝会が行われていましたが、一人だけ顔を出さなかったのがレギュラーのキャッチャーだった森祇晶さん。森さんが何をしていたかといえば、日本シリーズで対戦する可能性があるパリーグのチームの情報を野村さんに毎回のように聞きに行ったんです。南海が相手の時にはさすがにできなかったでしょうが、野村さんは惜しげもなく森さんに阪急やロッテのことを教えていたそうです。こういった交流が間違いなくID野球の礎になったはずです。そして、森さんと野村さんは当時から「キャッチャーの地位を高められるように頑張ろうな」と語り合っていたそうです。そして、森さんは伊東勤さん、野村さんは古田敦也さんをそれぞれリーグを代表する名キャッチャーに育て上げ、誓いを実現させました。

こういうことを並べているとまさに「巨星墜つ」という言葉がふさわしいように感じます。ご冥福をお祈りいたします。では、また次回です。
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NPBアウォーズが1126日に行われ、MVPや新人王など記者投票で決まる各賞が併せて発表されました。大方の予想通りの顔ぶれが受賞しましたが、「どうしてこの人に?」という投票があったことが話題になったとか。


夕刊フジのウェブサイトによると、ベストナインとセリーグMVPの投票で巨人の大竹寛投手にそれぞれ1票ずつ入っていたことを報道陣から聞かされ「どうして自分が?」と戸惑っていたとか。それ以前にもこういった投票があったそうです。プロはもちろん高校も社会人も女子野球もチェックしている大の野球好きとして知られる伊集院光さんがこの投票方式について「責任持って投票していることをファンがわかるような方法にするべきでは」とNPBアウォーズ翌日のラジオ番組でコメントしたのです。奇をてらったつもりはないとしても根拠を持って投票してこそMVPなどの賞の権威が保てるだろうと言う意味をこめているのかと思います。その方法として伊集院さんは投票詳細の開示を提案したのです。

投票詳細の開示は、中央競馬の馬のMVPというべき年度代表馬や世代・種目別の最優秀馬を決めるJRA賞の投票で行っています。各賞が発表されたその日にJRAのホームページでどこのメディアの誰がどの馬に投票したかを見ることができるようになっています。ただ、投票した人が開示をしたくないと申し出たらその人の投票内容は開示されないことになっています。同じメディアでも開示した人も開示しない人もいるようで、メディアで拘束するというわけでなく個人の意志に任せているようです。

権威を保つための方法なら、Jリーグアウォーズのベストイレブン、MVPのように当事者、つまり選手・監督に投票させる方法もあるかもしれません。Jリーグの場合、すべてのチームの監督と試合時間などの一定用件を満たした選手が投票権を持ち、記者には一切投票権がありません。現場にいる人たちの実感が反映されるためか、94年のペレイラさん(当時・読売ヴェルディ川崎)みたいに記者の予想を裏切る意外な人選で驚かれることもあります。プロ野球でも日本プロ野球選手会が選手会に加入する選手(選手会に入っていれば外国出身者でも投票できる)の投票で独自にMVPを決める取り組みがありますが、NPBアウォーズには反映されません。オールスターでも選手間投票で追加選出する制度があるので、記者投票60%と選手間投票40%という風な配分をつけた上での合計点で決めるという方法もありそうです。

誰もが納得できるような方法は難しいかもしれませんが、いろいろと検討する価値はあるかもしれません。では、また次回です。

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国内のプロ野球はシーズン全日程を終えて秋季練習を行っていますが、セリーグ優勝の巨人原辰徳監督がこれからのプロ野球のために大胆な提言を2つしました。

ひとつはセリーグでのDH制導入。日本シリーズでパリーグのチームが7連覇しているのはDH制があるからと考え、バッティングに秀でている選手を今まで以上に加えられるし、投手は切れ目のない打線と戦うことで技量向上が期待できるのではないかと考えているようです。そんな原監督の考えについて、スポーツ報知が巨人ファンに向けてネットでアンケートをとったところ約4分の3の人が賛成しているとか。見ているファンとしては、ピッチャーが打席に入って攻撃の流れが停滞するよりもDHが打席に入ることでいつ点が入ってもおかしくない状況を作るべきと考えている人が多いようですが、私はリーグのアイデンティティを守るためにはDH制は導入すべきではないと思います。セリーグもパリーグもDH制を使うようだと、これまでできたセリーグの個性が壊れてしまいそうで怖いんです。それを犠牲にしてでも強くしないといけないという気持ちはわかりますが、若手選手の育成の仕方などリーグの土台を揺るがすことなく見習えるところから取り組む方がいいと思いますが。横浜DeNAの中畑清前監督もDHだけがパリーグが日本シリーズで勝てる要因ではなく一貫した育成体制を確立していることも要因なんだとスポニチのコラムで語っています。

もう1つはFAの人的補償を廃止すること。新たな選手を迎え入れることがうれしいことだけでなく、誰かと引き換えになることで悲しいことにもなってしまうからというのです。私はこの意見には賛成します。FA移籍で大物選手が加わるのと引き換えに若手選手が新天地に向かうことで飛躍のチャンスを掴むこともありますが逆に信頼関係にあった指導者と選手を一方的に引きはがすことにもなってしまいます。というか、プロ野球選手会が出場機会に恵まれない選手のために提案している「現役選手ドラフト」がFA人的補償の機会がない球団に魅力的なものになれば、原監督の不安はすぐに解消できるとも思っていますが。

これからのための提案は決して無益になるとは思いません。きっと何かのヒントを与えてくれると確信しています。では、また次回です。
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