昨年は春が90回、夏が100回と高校野球の甲子園大会が相次いで節目を迎えましたが、今年は社会人野球の都市対抗大会が90回の節目を迎えました。春のセンバツ高校野球よりも2年遅く1927年(昭和2年)にスタートしましたが、戦争による中断期間が短かったためセンバツよりも2年早く92年目で90回目の大会を迎えました。

でも、気になるのは都市対抗野球が「社会人の甲子園」ともいえるはずなのに高校野球ほどのムーブメントがなかなか起きないように見えることです。会場の東京ドームの周りはカードによっては巨人戦に負けずとも劣らずの人出があるんです。ただ、メディアの注目度には何となく温度差を感じるんです。前にも言ったことがあるかと思いますが、ここ数年は開催期間が夏の甲子園を目指す高校野球の地方大会と被ることが多く、東京ドームに出場チームを送り出している県の地元新聞の扱いが高校野球の県大会よりも明らかに小さいという県もあるとか。実業団チームが幅を利かせているからか、その企業にゆかりのある地域しか盛り上がらず、学校からかなり離れていても県内にあるからと応援ムードができる高校野球のようにはいかないようなんです。「都市対抗」だからそれでいいと思う人もいるかもしれません。でも、「企業城下町にいればいやが上にも盛り上がるけど、川を渡れば企業の恩恵を受けているわけじゃないから盛り上がる義理も義務もない」と突き放してしまう人がいると高校野球よりも扱いが小さくなってしまうのかもしれません。

ドラフト候補と言われるような力のある人が出てきても高校野球の注目投手やスラッガーの方が注目度が高いこともあります。「甲子園で活躍したあの人が都市対抗に出た」という触れ込みになれば注目度が出てくることもあります。ただ、甲子園に出たことない人だと注目のされ方は大きくないんです。地元高校・大学出身者が同じ県内の実業団に入って都市対抗に出るとなればその人を中心に盛り上げることだってできるはずなのに、ともどかしくなることもあります。

いろいろとぼやいてしまいますが、都市対抗90回を迎えるにあたって社会人野球賛歌「我街(われら)の誇り」が作られたことに今、期待しています。都市対抗野球の大会歌ではありませんが、センバツ高校野球の大会歌として「今ありて」が65回大会を記念して1993年に作られた時みたいに浸透してくれれば、都市対抗への人々の見る目が変わるだろうと思っています。

では、また次回です。
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現地時間の1日、アメリカ・メジャーリーグが大揺れに揺れました。大谷翔平選手が所属するエンゼルスの先発投手陣の一角を担っていたスカッグス投手が遠征で訪れていたテキサス州の宿舎で急死したのです。この日にも試合が予定されていましたが、エンゼルスの対戦相手だったレンジャースの関係者が中止にすることを発表し監督が弔意のコメントを発表するという異例ずくめ対応がとられました。翌日の試合は行われましたが、エンゼルスの選手や監督はスカッグス投手の思い出話をかわしてから試合に向かったとか。事件性はないといわれていますが死因はわかっていません。

今回は死因がまだわかっていませんが、1980年代あたりだとアスリートの突然死の原因としてドーピング違反になる薬物の過剰摂取が疑われることがありました。ドーピング検査では違反が見つからなかったのに突然死のあとに検死してみると薬物摂取のあとが見つかったということがあり、フェアプレーの担保のためだけでなくアスリートの生命を守るためにもドーピングをやらせないようにしようという考えが広まりました。そのおかげか、最近でこそこういう原因とみられる突然死が少なくなりました。
また、一般の人より脈拍が少ないのに血液の拍出量が多い、いわゆるスポーツ心臓で引き起こされるという循環異常で突然死したという人も昔はいました。ただ、最近は運動量を心拍数に合わせてコントロールして負担を少なくするように考慮する仕組みが構築されるようになって突然死が一時期よりかはなくなってきたような気がします。こういった取り組みの精度を高めていくことがスカッグス投手のような人を出さないようにする足掛かりになるかもしれません。

ただ、新手のドーピングが原因で命を落としたという人が現れないとは言い切れません。それに極限以上の鍛錬にこだわる人が全くいないとは言い切れません。当事者意識がないところで言ってしまいますが、こういったことを遠ざけるための努力をするのが当然だと思われるような人が圧倒的多数になることを祈る以上のことはありません。

では、また次回です。
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4月に入り高校野球の球数制限に関する議論が日本高野連の諮問委員会で始まりました。元メジャーリーガーで早稲田大学の小宮山悟監督やソフトボール女子日本代表元監督の宇津木妙子さん、甲子園優勝経験がある学校の監督や球数制限をローカルルールで導入しようとした新潟県高野連の代表などいろいろな立場の人たちが参加したそうです。ただ、簡単に結論を導けることではないようです。

年内をめどに意見を取りまとめることになっているそうですが、初めての会議では現状把握を行ったそうです。その中でまず意見が一致したのは見切り発車では実行するわけにはいかないということ。けがを抱えている人なら歓迎するかもしれないが、導入がエラい迷惑に感じる人もいる。いろいろと考えのあるところで着地点を見出さないといけませんが、簡単なことではありません。

選手の負担についてテコ入れが行われた例として思い出すのは高校サッカーです。関東圏での開催が定着し出場校が48校にまで増えた年末年始の全国高校サッカー選手権。1993年度までは元日の天皇杯決勝の前座イベントとして開会式をやったあと1月2日に1回戦、3日に2回戦、4日にベスト16と3連戦したあと1日休み、6日のベスト8から決勝まで3連戦という日程でした。Jリーグなどのトップリーグはもちろん、ユース世代の試合でも連戦はありえないとされるサッカー界。FIFAが主催する世界大会では試合と試合のインターバルをかならず48時間はおくようにと明文化された規定もあります。こういう規定があるくらいだから3連戦を2つもやるような大会形式はFIFAから何かしらの警告かペナルティが課せられてもおかしくないと判断したようで、12月30日開会式・31日1回戦と前倒しし、更に2002年度からは成人の日決勝が定着するに至りました。サッカーの場合は世界基準があったから制度改革がスムースにいけたのかもしれません。しかし、夏のインターハイについては手が及ばず、あるサッカーライターは「世界一過酷なユース年代のトーナメント」と呼ぶようになったとか。

さて、野球の場合は世界野球・ソフトボール連盟という統括団体がありますが、そこが主催するワールドカップではU-18年代でも球数制限という話を聞いたことありません。ワールドベースボールクラシックのようにマイナーリーグのオープン戦を下敷きにした球数制限がはっきり明文化されているようなら、世界基準に追いつくためという理由で導入ができたかもしれません。ただFIFAのような強制力が世界連盟にないようだと混乱するような気もします。世界基準においつくためには選手の健康状態、戦力均衡など超えるべきハードルはたくさんあることを忘れてはいけません。

では、また次回です。
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5月1日から「令和」に改元されるため平成最後の甲子園となる第91回センバツ高校野球が3日に決勝を迎え、東邦(愛知)が6-0で習志野(千葉)を破って30年ぶり5度目の優勝を果たしました。いたるところで話題になっていますが、平成元年以来の優勝となる東邦は平成最初と最後の甲子園王者となったわけです。

前にも触れたと思いますが、センバツは力のある投手を揃えたチームが強いので得点がめちゃくちゃ入る試合は少ないという傾向がありました。対して夏の甲子園はセンバツ、春・夏の地方大会と試合経験を積んで得点力が増強されるので打ち合いの試合が増えるという傾向でした。しかし、今年含めここ数年はセンバツでも大量得点の試合が増えている感じがします。1試合でホームランを2本打った選手が3人出たり相手のミスにつけ込んでいるうちにヒット数の割には多く点が入り試合時間が9回決着でも3時間近くになったりした(高校野球の試合時間は9回決着で約2時間)こともありました。24安打24得点という試合もありました。練習環境や方法が改善されてきたから得点力の落ち込みが小さくなってこういう風になったのかもしれません。

そんな中、習志野高校OBで母校の初戦を見届けた掛布雅之さんが変わった提言を3月25日付のスポーツ報知で展開しました。かいつまんで言うと「球数制限よりもバットの技術革新を」ということ。掛布さんの理想は木のバットを使うことだそうですが、資源や経費の問題で導入が難しいなら芯の幅を木のバット並みに狭くして反発力を弱めた「打球を飛ばしにくい金属バット」を使うべきだというんです。金属バットよりヒットが出にくくなるし、ピッチャーはストライクゾーンを有効利用できるようになるし…で球数を2割程度減らせるだろうという見立てを掛布さんはしています。バッティング技術やピッチング戦略の向上も間違いなく期待できますが、世界基準に近づくことも期待できるのではないでしょうか。「侍ジャパンU-18」が戦う国際大会は木のバットを使うのが基本です。金属バットからの切り替えに順応できず木のバットでバッティングの調子が落ちてしまう人が時々いますが、木のバットに近い金属バットを使えば代表で苦しむような人は間違いなく減っていくと思いますが。いろいろな意味でこれからの野球のために必要な革新になりそうです。

では、また次回です
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20日・21日の2日にわたってMLB開幕シリーズが行われ、マリナーズ・イチロー選手の7年ぶりの凱旋も話題になっています。それに先駆け、17日と18日にNPBの巨人がマリナーズと、北海道日本ハムがアスレチックスとそれぞれ2連戦を行いました。プレシーズンゲームと銘打たれた試合ではありますが、普段の公式戦では得られない経験ができたかもしれません。

プレシーズンゲームはオープン戦と日本語で訳されるもので、メジャー陣営もNPB陣営も最終調整という位置づけでやるものではあります。ですが、若手選手としても主力選手としても、ビッグネームとガチンコ勝負ができることで普段以上の気合が入っていいプレーが見られるようになります。メジャー陣営も響くものを感じるのか、気合で応えてくれる雰囲気もあります。開幕してからのプレーでどう反映するかというのも楽しみになってきます。

プロ野球が絡む国際親善試合といえば、今回のようなMLB開幕シリーズの前座的にやるものか業務提携しているチーム同士で秋にやるものくらいで「オープン戦」といえるものですが、Jリーグではシーズン開幕前のプレシーズンマッチでやるものに加えておととしから「Jリーグワールドチャレンジ」という大会も加わりました。ヨーロッパの強豪とJリーグで上位を争うチームが対戦するものではありますが、あまり詳しくない人からするとプレシーズンマッチと同じような「オープン戦」みたいなものと思われるかもしれません。ですが、ヨーロッパのビッグクラブとしてはアジア圏での更なるビジネスチャンスをつかむためにとトップ選手を惜しげもなくつぎ込むので真剣勝負の色合いが強くなってきます。集客力も代表戦ほどではないにしてもかなりのものがあるということで、夏の恒例行事として定着してきています。プロ野球でもMLB公式戦の日本開催のありなしに関係なく、毎年秋にでも「NPBインターナショナルチャレンジ」とでも銘打ってやってみてはいかがでしょうか? 今回のMLB開幕シリーズのようにセ・パ代表1球団とメジャーの2球団が参加するような形で。

では、また次回です。
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