高校野球100年という節目の年に行われた第97回全国高校野球選手権。好プレーもあれば、珍プレーもあり、パワーもテクニックも例年以上のたっぷり見られた、まさに100年という歴史の足跡を見せつけたような大会だったと思います。ただ、ひとつ物足りないところを除いて。

毎年、夏の甲子園では、テレビ朝日系列の地上波で開会式と決勝が全国ネットで生中継されていました。今年も、開会式の生中継は全国ネットでありました。しかし、決勝は全国ネットでの生中継はありませんでした。関西ではABCが全試合というわけではないですが、開催期間中連日生中継があるそうですし、地元チームが絡む試合を選んで系列局が単発的に放送することあるそうですが、関東では昼間の再放送でも視聴率がとれると評判のドラマ「相棒」を優先させるつもりか、今年の決勝の生中継はテレ朝の地上波では見られませんでした。

私は、子供のころからテレ朝での夏の甲子園の放送があればCMや必要以上にうるさい実況に嫌気する家族を横目にチャンネルをテレ朝に合わせていました。高校野球やプロ野球の阪神戦で甲子園という場所を知り尽くしているABCのアナウンサーが伝える熱戦は何度でも見たくなってしまいます。昔なら「甲子園は清原のためにあるのか!」、最近なら「甲子園で野球がしたい!」などの名文句も生まれていますが、これらはNHKででなくABCのアナウンサーが発したことばです。こんなフレーズも楽しみでした。しかし、今年は開会式だけだったというのはとにかくさびしかったですね。もはや、全試合完全生中継のBS朝日が見られるようにアンテナを買うか、ケーブルテレビと契約するしかないでしょうか?

それでは、また次回です。
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高校野球が誕生して今年で100年、NPBのリーグがスタートして来年で80年(NPBの公式のプロフィールでは、巨人が設立された1934年がNPBの歴史が始まった年とされ、昨年をNPB誕生80年としていますが、プロチーム同士のリーグがスタートしたのは1936年です)と、野球界にとってメモリアルな年が続きます。そして今年は「戦後70年」でもあります。東京ドームの近くに太平洋戦争で命を落とした野球人(特にプロ野球関係者)の慰霊碑があります。そこには戦前の野球界を彩った人たちの名前も多く刻まれているそうです。そんな中、野球ができる平和をかみしめるための取り組みが進んでいます。その中心にいるのは、やはり、平和都市・広島を拠点に置く広島カープです。

原爆記念日の8月6日、広島のホームが広島市民球場だったころは、市民球場にほど近い広島市内の中心街であらゆる記念行事が行われていたため、交通に混乱が生じる可能性があるとしてホームゲームは市民球場でなく福山や呉、岡山県(県営球場や倉敷マスカットスタジアム)など別の会場を使っていました。しかし、ホームが広島市の中心街からやや離れたところのマツダスタジアムに移ってからはこういう配慮をする必要がなくなったからか、8月6日にマツダスタジアムでホームゲームをやるようになりました。

2013年8月6日、マツダスタジアムで初の原爆記念日でのホームゲーム(広島阪神)。この時には被爆しながらも残ったオルガンが球場に運び込まれ、被爆2世(被爆者の子供)であることをこの数年前にカミングアウトした吉川晃司さんが「イマジン」を歌ったり、事前に配布したフリーペーパーを掲げてもらって緑の輪を作って平和をアピールしたりしたそうです。この日は他のセリーグの試合会場でも平和を訴えるためのアトラクションが行われ、横浜DeNA巨人が行われた福島県郡山では、地元出身で評論家時代から復興支援に取り組み続けているDeNAの中畑監督を中心にした震災復興へのアピールも行われました。

そして、今年の8月6日、原爆投下からちょうど70年というこの日、マツダスタジアムで行われた阪神戦で広島の選手は側頭部に白いハトが描かれた帽子をかぶり、胸にPEACEと書かれ、背番号が86というユニフォームを着て戦いました。同じ背番号をつけて試合を行うのはセリーグでは初めての試みだったとか。パリーグでは、埼玉西武が鉄腕と称された西鉄時代の大エース稲尾和久さんの背番号24を没後に永久欠番にした際、ホームゲームではもちろんのこと、稲尾さんゆかりの場所でもあるアウェイの福岡で行われた福岡ソフトバンク戦でも埼玉西武の選手全員が背番号24をつけてプレーしたケースがあります。ただ、特定の人物の功績をたたえるために同じ背番号をつけることはあっても、人物とは関係ないメッセージを込めた背番号を作ってつけるケースは日本球界では初めてのようです。

「逆転の日本史」のような話になってしまいますが、もしも沢村栄治や景浦将が生き延びて戦後にグラウンドに戻ってきたら…、夏の甲子園決勝でノーヒッターになった嶋清一が戦争で死なずにプロのマウンドに上がっていたら…日本のプロ野球はどこかしら変わっていたかもしれません。今のような繁栄に導かれていく変化かもしれないし、逆に衰退へたどってしまう変化かもしれません。ともあれ、そんな空想・妄想をいつまでも話せるような、そしていつまでも野球を楽しめるような幸せを感じ続けたいですね。

では、また次回です。
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春にここでもお話ししたかと思いますが、今年は高校野球誕生100年というメモリアルイヤーで、スポーツ紙各紙やテレビではこの100年の名場面・名選手を振り返る企画がいろいろな形で展開しています。そして、いまは夏の高校選手権の代表を決める地方大会(都道府県予選)が行われ、すこしずつ代表決定の声も上がっています。

誤解を恐れない言い方をすれば、今年夏の都道府県予選は異様な盛り上がりを見せていますよね。有力校を分散させるシード制度をとっていない大阪で前回優勝の大阪桐蔭とセンバツで準優勝を経験した履正社が1回戦でぶつかることになり、大阪のアマチュア野球の拠点球場である舞洲スタジアムには1万人以上の観衆が集まり、周辺は交通渋滞がひどかったとか。千葉では「史上最強の帰宅部」と呼ばれた選手が試合で敗れてしまったものの2発放ってネット上で大騒ぎになったという話もあります。ただ、この選手を取り上げた東スポのウェブ記事を読むと、彼は別の高校の1年次に野球部にいたものの退部・退学し、2年から現在の高校に転校したそうで、退部で在籍履歴がリセットされて適用外になっている可能性もありますが、それなりの経験や実績があっても転校してから1年間は公式戦に出場できないという規定に引っかかってしまったという選手だったようですね。選手とマネージャーが1人ずつしかいない野球部の助っ人として「元野球部員」の帰宅部がブランクをものともせずに奮闘したという話もすごいものですが、数十年前から今の今までこういう規定が生きているのも驚きでした。

そして、一番の盛り上がりを見せているのが、西東京大会での早稲田実業・清宮幸太郎選手。中学時代に日本代表の一員としてアメリカで行われた世界大会でホームランを連発し、アメリカのメディアでは「ベーブルース2世」なんてよばれるようになったとか。そんな彼が名門の早稲田実業に入学したからまた大騒ぎになったわけです。フィーバーに水を差すわけではありませんが、この盛り上がり方はなでしこジャパンの岩渕真奈選手と一緒ですね。
岩渕選手の場合も15歳くらいのときにU-17女子世界選手権で技術の高さを見せつけ「ピッチに舞い降りた天使」なんてFIFAのサイトに掲載された大会レポートであだ名される熱狂ぶりをみせ、日本に戻ってきたらなでしこリーグには、2011年や今年のフィーバーほどではないにしても、彼女見たさにお客が集まったという騒ぎにまたなったというのと重なります。でも、おそらく大阪桐蔭の中田翔選手(現在北海道日本ハム)以来の大物スラッガーとして業界が待望した存在がやっとあらわれたという意味での期待に応えてくれたという見方をすれば、岩渕選手とは違う盛り上がり方だともいえそうですね。そんな中での甲子園、どんな戦いが待っているんでしょうか?

それでは、また次回です。
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無観客試合といえば、サッカーで観客がほかの観客に危害を加えたり差別的な行為をしたりしたために、ペナルティーとして観客を締め出すようなものをイメージするかもしれません。しかし、アメリカでは「野球は習慣のゲーム」という伝統を守るためにと、先月メジャーリーグで無観客試合が行われました。

「野球は習慣のゲーム」というのは3日付のスポニチのメジャーリーグコラム「球拾い」で使われていたフレーズですが、なるほどと思わずうなずいてしまいました。雨で中止になることを考えてある程度余裕をもって試合日程が組まれているわけだから、観客がスタジアムに足を運べない状況ならば予備日に開催を回してもいいし、相手が同意してくれればダブルヘッダーを行うための手続きをしてもいいはず。しかし、無観客試合を決断したオリオールズは安易に逃げることを考えなかったようです。近い日程で試合が組まれていない日に穴埋めしたり、アウェイの会場でホームとアウェイを入れ替えて試合を消化させたりしてもあと1日埋まらない。そこで、オリオールズは平日昼間にもかかわらず無観客でのデーゲームを提案したということ。オリオールズのホームタウンのボルティモアでは町中を巻き込む暴動で夜間外出禁止令を含めた非常事態宣言が発せられたため、このような決断を下したというんです。

メジャーリーグでは、今回の試合が史上初の無観客試合になったとか。でも、スタジアムで行われることはほぼ一通りやったそうです。たとえば、試合開始前にはアメリカ国歌、7回開始前に「私を野球に連れてって」が録音されたものではあるものの流されたとか。このオリオールズの決断に地元の人たちは一通り歓迎しているとか。いつ終わるかわからない不安の中で、オリオールズが気持ちを明るくさせてくれるような取り組みをしたと考えれば、こういう方法だってあるんだと今後のメジャーリーグに伝えられるようになるでしょうね。

それでは、また次回です。

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第87回センバツ高校野球が1日に決勝が行われ、敦賀気比が春夏通じて初優勝を果たしました。北陸勢初の甲子園制覇というのは、確かに高校野球100年というメモリアルイヤーらしい歴史的な優勝ではありました。しかし、ここまで騒ぐものかなという疑問もあるんです。

ありえないし、あっていいものとは思えないですが、イギリスのブックメーカーがもし今回のセンバツに優勝当てのオッズをつけていれば、大会開始前の段階なら
1.大阪桐蔭
2.仙台育英
3.龍谷大平安、浦和学院
5.敦賀気比
というくらいの高評価になっても不思議ではないでしょうし、ベスト8になったら
1.大阪桐蔭
2.浦和学院
3.敦賀気比
4.県立岐阜商
5.東海大四
というふうに高評価をキープできていると思うんですよね。

去年夏もベスト4だったことを考えれば、悲願達成の可能性は高いという風に考えられて当然のことでしょうし、内容はともかくここまでの勝ち上がりに驚くこともありませんでした。でも、雪国北陸の学校が優勝したからって一律にサプライズ的に扱っているのには首をかしげてしまいます。新聞各紙の大会前評価が低いところがメキメキと勢いづいて勝ち上がれば、雪国でなくてもサプライズ的に取り上げらえても不思議ではないですけど、ここ数年は出るたびに優勝してもおかしくないといわれるような戦力で乗り込んできてるところに驚きの目で優勝を見られてしまうのには首をかしげてしまうんです。

雪国であろうと、力のある学校は関東や関西の有名校と引けを取らない実力があります。そういった学校には相応の目線で見るようにする感覚がこれからの高校野球には必要かもしれません。

それでは、また次回です。
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